「あなたのことはそれほど」第10話【最終回】 6月20日(火)放送内容

 

【第9話のあらすじ】

家を出て一人暮らしを始めた美都。美都がいなくなっても2人分の料理を作る涼太。涼太への思いを告白した小田原。実家へ戻ってしまった麗華。怪文書を配っていた横山。美都は妊娠していなかった事がわかる。・・・彼らにはどのような未来が待っているのだろうか、その先に幸せはあるのだろうか・・・?

 

 

今回の出演キャスト

主人公:渡辺美都/波瑠

眼科で医療事務として勤務。嘘がヘタで、一度決めたら一直線の無鉄砲な性格。
占い師に「2番目に好きな人と結婚するといい」と言われ、勤務先の眼科に患者としてきた優しく穏やかな涼太と結婚。

ごく普通の幸せな結婚生活を送っていたが、ある日中学時代好きだった有島と再会し、抜け出せない不倫へとはまっていく。

 

渡辺涼太/東出昌大

美都の夫で、インテリア関係の会社で働いている。眼科に行った際そこで勤める美都に一目惚れをして結婚。美都に一途で、料理上手で、いつも笑顔の優しい男。
美都が不倫をしていることに気付きながらも何とか幸せな結婚生活を続けようと努力するが、携帯をチェックしたりと次第に美都を監視するようになる。やがて耐えられなくなり、精神が崩壊し、美都への愛が狂気の愛へと変わってく。

有島光軌/鈴木伸之

美都の中学時代の同級生。
イケメンでモテるが、焼肉屋でバイトしていた高校の同級生麗華と再会し、惹かれ結婚。
麗華が里帰り出産中に、偶然、美都と再会する…。
麗華も子供も大事と言う思いはあるが、昔からかわいい子が好きで、美都との出会いにテンションがあがり、根が優しく流されやすい性格のため、ズルズルと不倫をすることになる。

有島麗華/仲里依紗

有島の妻で有島とは高校の同級生。見た目は地味だが、いつも冷静で芯が強い性格。
父親の浮気が原因で両親が別居していて、学生時代苦労をしていた。そんな時、支えてくれていたのが有島だった。
有島と再会しそのまま結婚。有島との間に長女を授かり、専業主婦として育児をしている。

飯田香子/大政絢

美都の中学からの親友。
正義感が強くはっきり物を言う性格なので、美都の無鉄砲な行動にイライラするが、正しい道へ戻そうと諭す。美都にあきれながらも頼られると突き放せない。

三好悦子/麻生祐未

美都の母親。スナックを経営しながらシングルマザーとして美都を育ててきた。
美都はそんな母親を見て、母親のようにはならない、幸せになりたいと切実に願って生きてきた。言い方はキツいが、陰では美都のことを心配し、見守っている。

小田原真吾/山崎育三郎

涼太が働くインテリア会社の同期。
オフィスデザインや内装設計などを手掛けるインテリアデザイナー。
涼太の様子を気にして、涼太の相談に乗ってきた。勘が鋭く、涼太と美都の歪んだ関係に気付く。

花山司/橋本じゅん

美都の働く眼科の医師で、バツ3の独身。今も複数の女性と付き合っている。
美都の不倫を察しながらも説教することはなく、穏やかに話を聞いてくれる。
美都の母親のことも気にしてくれる優しい上司。

森瑠美/黒川智花

眼科で美都と一緒に働く同僚。
いつも明るく、美都が上の空のときも優しく助けてくれる。幸せな結婚に憧れている。

横山皆美/中川翔子

有島夫婦と同じマンションに住む主婦。同じくらいの子供がいるが、いつも旦那の愚痴を言い、有島夫婦を羨ましがる。勝手に距離を縮めてきたり、陰から監視していたり、恐い面を持つ。

「あなたのことはそれほど」第10話【最終回】のネタバレ

ーーー『選ばれなかった。私は選ばれませんでした。。。』ーーー

 

焼肉屋にいる美都(波瑠)。涼太(東出昌大)からの「離婚届、記入して郵送してくれたら出しておきます。送ってください。」というメールに「妊娠、していませんでした。」と返信する。

ーーー『これ、信じていいのかな?読めないな。でも、ここは信じておこうか。』ーーー

心の中で呟き、焼肉を一人食べる美都。

 

涼太は美都からのメールを確認し、再びスピードを上げてランニングをする。

 

 

麗華(仲里依紗)の置き手紙を見て家を飛び出した有島(鈴木伸之)は、酒を飲んでいて車に乗れない事に気付き、麗華に電話する。

有島 「迎えに行くから、今からタクシーで駅に向かって。」

タクシーを探しながら有島は話す。

麗華 「焦り過ぎでしょ。せっかく出てきたのに。」

有島 「せっかくって何だよ。」

麗華 「私、真剣に考えたんです。なのに今のあなたに勢いだけで迎えに来られても、とても帰る気になりません。」

有島はタクシーを止めようと挙げていた手を下げる。

有島 「じゃあ、どうすんの?」

麗華 「実家にいます。」

有島 「あのさぁ、敬語やめてくんない。恐いから。」

麗華 「昔から怒ると敬語になってしまうんです。」

有島 「そうですか。」

麗華 「私が恐い?」

有島 「恐いです。いなくなってしまう事が恐いです。」

麗華 「おやすみ。」

と麗華はこれ以上聞きたくないという様に一方的に電話を切る。

 

会話を聞いていた麗華の母親は、麗華に、厳しすぎじゃないか、話し合った方がいいのでは?と言うが、麗華は、今の私と一緒にいるのは向こうも辛いと思う、頭を冷やす機会をあげている、と言う。

母親 「お前はいつも冷静で、正しいね。光軌さんも大変だ。」

麗華 「悪いの?正しいことは悪いの?」

母親 「悪くないよ。お前は昔からいい子だもん。でもさぁ、男なんて嘘もつくしそりゃ浮気だってするよ。若くてかっこ良いんだしさぁ。でも、いいお父さんやってくれてるんだから。」

麗華 「若くてかっこ良くていいお父さんやってたら何しても許されるんだ。」

母親 「いい子が卑屈になっちゃって。」

麗華 「私は母さんみたいになりたくないの。母さんは私の反面教師だと思ってる。」

麗華は声を荒げる。

母親 「そりゃしょうがないよ。おやすみ。」

母親が部屋からでて行くと麗華は深いため息をつく。

 

次の日、有島の携帯に知らない番号から電話がかかって来る。カフェに現れた涼太に深く頭を下げる有島。

涼太 「みっちゃんから聞きました?」

有島 「何を、ですか?」

涼太 「ならいいです。これからどうするつもりですか?例えば僕らが別れたら、奥さんさえ騙し続ければ関係を続ける事は可能ですよね。」

有島 「いや、それはもうありません。うそじゃないです。正直、それどころじゃなくて。妻に出て行かれて。」

涼太 「それは大変だ!奥さん、芯の強そうな方でしたもんね。」

涼太は大笑いながら言う。そしてまた無表情になり、

涼太 「でも、それどころじゃないという事は、最初から奥さんが一番で、みっちゃんが二番だったっていう事ですよね。ひどい話だなぁ。」

有島 「すいませんでした。」

と有島は深く頭を下げ、立ち上がり、「本当に申し訳ありませんでした。」と、再び頭をさげる。

有島 「すいません。勝手なお願いですが、もし少しでも可能性があるなら、美都と元にー」

怒りのあまり立ち上がる涼太。

涼太 「あなた、悪い人だ。極悪人だ。」

と有島に顔を寄せ、絞り出すような声で言う。そして帰り支度をしながら、

涼太 「でもまぁ、普通にいい人なんでしょ?あの奥さんと結婚する程度には。奥さんの事も、お子さんの事もそれなりに大事にして、みっちゃんの事もまあまあ大事にしてたのかもしれない。きっと昔から人気者で、要領よくそこそこ努力して、そこそこ幸せで、上手く生きてきたんでしょ。でも、もうそうはいきませんよ。」

そして目を見開き、ゆっくり強い口調で言う。

涼太 「僕は一生懸命努力してみっちゃんと結婚しました。結婚してからも。それでも、これですよ。これから有島さんは大変ですね。」

そして涼太は代金を置き出て行く。

 

 

ーーー『自分の為に料理をして、自分の為に買い物をして、自分の為に花を買う。私は自由になったらしい。昔だってそれなりに幸せだったのに、知らずに終わらせる事も出来たのに、突然現れた曲がり角を曲がらずにはいられなかった。だってそこはキラキラ光ってたから。待ち続けた光を目の前にしてスルーできるような、そんな出来た人間じゃない。キラキラのその先で、私は自分の本性を思い知って、有島君は逸れた道を後悔した。だけど私、後悔なんかしてない。』ーーー

 

美都は有島に「離婚しました」とメールする。すぐに既読になるが、返信はない。

 

ーーー『有島君、あなたはあなたの道を取り戻すべく、これから孤軍奮闘するのかな。頑張ってください。幸せを祈ったりはしないけどね。』ーーー

 

麗華の実家に行く有島。玄関に出てくる麗華。

麗華 「仕事は?」

有島 「休み。」

麗華 「ねえ、私が言った事聞いてなかったの?」

有島 「俺が言った事は聞いた?」

麗華 「外で。」

といい、子供を抱きながら麗華は有島と外へ出る。

 

庭でよろけそうになる麗華に有島は手を貸そうとするが、麗華は「大丈夫。」と拒絶する。

有島 「なぁ、俺はバイ菌か?汚らわしいか?」

麗華 「そう・・・見えた?」

有島 「自分でもちょっと思った。」

麗華 「そう!ならそうなんでしょうね。わざわざ来てくれたのに悪いけど、それじゃ。」

家に戻ろうとする麗華。

有島 「ゴメン!悪かった!反省してる。二度としない。どうしたら許してもらえる?・・・言ってくれ。土下座でも何でもするから。」

麗華 「やめて!・・・そんな事したら一生許さない。・・・帰ってください。今は離れていたいんです。さようなら。」

有島は言葉も出ず、家に入って行く麗華をただ見ている事しか出来なかった。

 

帰宅する有島。玄関にある麗華が作ったお香立てに目がいき、お香に火をつける。

 

涼太は「かんぱーい。」と言いながら香子(大政絢)とビールを飲む。

香子 「それで、お話って・・・?」

涼太は香子に離婚届を見せる。

涼太 「これなんですけど。」

香子 「離婚・・・するんですか?」

涼太 「ええ、みっちゃんの要望ですから。」

香子 「それでいいんですか?」

涼太 「みっちゃんの要望ですから。それで、ここに証人の署名捺印が欲しいんです。」

香子 「私・・・ですか?」

涼太 「僕らの終わりは、僕とみっちゃんを知ってる人に見てもらいたい。ちゃんと2人の事を、夫婦の事を知ってる人に。」

辛そうに言う涼太の顔を見て小さくため息を付き、香子は署名捺印をする。

涼太 「ありがとうございます。」

香子 「いえ。」

涼太 「いやぁ、あっけないですね。こんなので終わりか、僕らは。」

涼太のビールの水滴が離婚届に垂れる。

香子 「あの、汚れるとあれなんで、しまいましょう。」

と離婚届を手に取った香子は気付く。

香子 「あれ、渡辺さん、明日誕生日じゃないですか。」

涼太 「これが、彼女から僕へのプレゼントですよ。ひどい女でしょ。」

涼太は涙を浮かべながら言う。

 

美都は瑠美(黒川智花)と職場でコンビニのおにぎりを食べる。

瑠美 「ダイエット?」

美都 「節約。離婚したから。」

瑠美 「いつ?」

美都 「今日って・・・」

美都はカレンダーを見る。その時涼太から「離婚届、役所に郵送しておきます。これで本当にさよならですね。今までどうもありがとう。」というメールが届く。

美都は席を外し、「受理されるのはいつ頃?」とメールを打とうとするが、やめて、代わりに「お誕生日おめでとうございます。」と返す。すると涼太から電話がかかってくる。

涼太 「ありがとう。覚えててくれて。」

美都 「うん。」

涼太 「あのさぁ、がっかりしたでしょ。子供で来てなくて。」

美都 「がっかりなんて、別に。何言ってるの。」

涼太 「そうなの?みっちゃんへこんでるんじゃないかなって思って。」

美都 「私は、元気です。」

涼太 「なら良かった。みっちゃんらしい。」

美都 「じゃあ、よろしくお願いー」

涼太 「ねぇ、みっちゃん、最後に一回だけ一緒にご飯食べない?」

 

その夜美都は涼太に会いに行く。涼太はおでんの屋台で待っていた。笑顔で手を振る涼太。涼太の指にはもう結婚指輪はなかった。

美都 「なんで、ここ?」

涼太 「2人で来た事ないでしょ?屋台って。最後は、何の思い出もない方がすっきりして良くない?」

美都 「まぁ、じゃ大根と白滝とはんぺん。」

涼太 「やっぱり大根は外せないよね。」

美都 「うん。」

涼太 「じゃぁ、離婚記念日に。」

美都 「あと、誕生日に。」

2人  「かんぱーい」

涼太 「食器とか鍋とか何にも持って行かなかったけど、どうしてる?」

美都 「一人だし、ちょっとづつ揃えてく。」

涼太 「うちの持って行っても良いのに。」

美都 「そんなの使えないよ。それに、何の思い出もない方がすっきりして良くない?」

涼太 「ああ、だよね。ごめん。」

おでんを美味しそうに食べる美都を見て微笑む涼太。

ーーー『まったりする。しちゃうなぁ。。。私たち別れるんだ。本当かなぁ。この人本当に離婚届出したのかな。』ーーー

涼太 「離婚届って証人が要るんだよね。それで香子さんに書いてもらった。」

美都 「香子に?」

涼太 「私の友達が申し訳ないって。君はバカだねぇ。君を手放すハメになった僕もバカ。やり直したいなあ。出来る事なら病院のあの待合室から。初めてのあのカフェから。プロポーズしたあの公園から。あっ、でもわかってるよ、無理だっていう事は。いっそ生まれ直したい。あれより楽しい事あるのかな?人生・・・長いなぁ。」

と、涼太は涙をこらえながら笑顔で話す。

ーーー『ヤバっ。誕生日に情けかけて油断した。』ーーー

その時、美都に香子からメールが来る。「昨日、涼太さんと会った。だいぶ疲れてるみたいだったけど、あんたが前に言ってた事なんとなくわかった。あの人少し、怖いね。」

ーーー『油断した。』ーーー

涼太 「誰?香子さん?」

美都 「ううん。病院の子。」

涼太 「そう。」

涼太の表情が一瞬変わるが、すぐに笑顔に戻る。

涼太 「いまね、家の中変えてるんだ。あのワインの付いたカーテンとかも取って、きっとみっちゃんの知らない家になるからたまには遊びにきてよ。」

 

朝の6時26分、麗華の実家のチャイムが鳴る。パジャマ姿で玄関を開ける麗華。

麗華 「私の話し通じなかっー」

有島 「お邪魔します!」

有島はそう言うと、麗華の話しは聞かず家に上がる。寝ている子供を見ると笑顔になり、子供の脇に座る。

有島 「あこしゃん、おはよー」

麗華 「起こさないでよ。」

有島 「顔見るだけ。」

麗華 「何なの。何でこんな早く。」

有島 「俺はアコの父親だから。娘に行ってきますを言いに来た。それじゃ、あこしゃん行ってきますねー。」

と言い、子供のほっぺを軽く触ると有島は部屋から出て行く。二階からおりてきた麗華の母親に、「すいません、朝早く。また来ます!」と言い、家を出て行く。

母親が麗華に「わざわざ来てあれだけって・・・これから仕事行くわけ?」と聞くと「さぁ、そうなんじゃない?」と麗華は答える。

 

夜も麗華の実家に来ている有島。

「あこしゃんただいまー。」と言いながら、子供を抱っこしている。母親が、夕ご飯は?と聞くと、アコに会いに来ただけなんで、と断って帰る。

 

翌朝5時、有島は眠そうに目覚ましのアラームを止め、ため息をつく。そしてまた実家に行き、「あこしゃんおはよう。行ってきます。」とほっぺを触ってそっと帰っていく。麗華はそれに気付いているが、寝たふりをしている。

そして夜も眠そうな自分に喝を入れながら車で実家を訪ね、麗華の隣で寝ている子供に「ただいま。また明日ね。」と言ってそっと帰ろうとすると、「明日も来るの?」と麗華が言う。

「来ないとただいまもおやすみも言えないでしょ?」という有島に、麗華は起き上がって、「クマ出てるけど。ちょっともう明日は・・・」と言うが、有島は何も言わず帰っていく。

 

 

悦子(麻生祐未)のスナックを訪ね、離婚を報告する美都。

悦子 「まぁ、そうなるだろうとは思ってたけどね。涼太さん、お給料運んでくる旦那としては良かったのに、もったいない。しれっと続ければいいのに。」

美都 「無理!その方が涼ちゃんに悪いし。」

悦子 「今更ピュアなふりして。」

美都 「お母さんって、何で今まで誰とも結婚できなかったの?」

悦子 「そういう言い方よしてくれる?結婚ぐらい簡単だよー、誰とでも良きゃね。」

美都 「私ずーっとお母さんみたいにはなりたくないと思ってた。」

悦子 「なってもらっても困るけどね。」

美都 「けど、お母さんみたいにはなれなかったのかも。」

悦子 「え?」

美都 「もしかしたら、お母さんが一番ピュアかもしれない。本当は今でも運命の人待ってるんでしょ?」

悦子 「はぁ?バカ言ってんじゃないよ。」

美都 「こんな親選んで生まれて来たバカですからぁ。」

2人はお互い照れくさそうに、でも嬉しそうに話す。

悦子 「で、涼太さんは大丈夫なの?」

美都 「うん。この前涼ちゃんの誕生日に会ってご飯食べて。」

悦子 「ん?」

美都 「あ、涼ちゃんが最後にもう一度って。」

悦子 「最後?」

美都 「最後。」

悦子は驚き、ちょっと言葉に詰まった後、「めんどくさい夫婦だね。」と言う。

 

 

悦子は涼太の家へ行く。

悦子 「いきなりごめんね。近くまで来たから最後にさ。」

涼太 「いえ、嬉しいです。」

悦子 「模様替え?へー、違う部屋みたい。」

涼太 「まだ色々やり始めたばっかりで。壁も塗って、みっちゃん来たら驚かそうと思って。」

悦子は部屋にまだ2人の結婚式の写真がたくさん飾られているのを見て驚き、動揺する。お茶を入れる涼太の左手には結婚指輪がはめられていた。

悦子 「えぇー、美都がここに来るわけないでしょ。離婚したんだから。」

と、悦子は明るく言う。

悦子 「ホントにあの子もバカよね。浮気されても夫婦でいたいって涼太さん言ってくれてるのに、離婚しなくてもねぇ。ここにいれば一生安泰だったのに。美都が悪い事したね。いっそ涼太さんも、浮気仕返してやれば良かったのに。」

涼太 「僕はそんな事ー」

悦子 「出来ないか。お天道様に怒られちゃうもんね。亡くなったお母さんがよく言ってたんだって?いい大人になってもママの言いつけ守っていい子ちゃんだねー。あっ、ごめん、怒った?ついね。今までは感じ良くしてたの。気遣って。義理の息子だからね。」

涼太 「それ逆じゃないですか?」

悦子 「何で?自分の娘を大事にして欲しいから、涼太さんに媚びるんでしょ。じゃなきゃね。あんなバカ娘でもねぇ、正しいかどうかご立派な理由で判断するのは他人事、自分の子は間違ってても許せちゃう。こんな親でもそうなんだから、涼太さんのお母さんなら尚更なんじゃないの?」

涼太 「僕の母?そうでしょうか・・・。」

悦子 「だって、そういう情の深い親に育てられたから、お天道様に見せられないような事をした美都を今でも愛せるんでしょ?」

涼太は少し怒ったような表情をする。

悦子 「でもさぁ、辛いなら美都の手なんか離したっていいんだよ。お天道様も怒りゃしないでしょ。」

涼太 「僕は・・・間違ってたんでしょうか?」

悦子 「そういうのに正解なんかないよ。ただ、2人とも苦しそう。子供には笑ってて欲しい。」

悦子は優しく語りかける。

涼太 「お義母さん・・・。」

悦子 「はい。」

悦子は涼太を励ます様に涼太の手を軽く握った後、立ち上がり、「お元気で。美都が今までお世話になりました。」と頭を下げ、帰っていく。涼太は動く事も出来ずそのまま黙って見送る。

 

美都に悦子から、最近涼太から連絡あった?と電話が来る。ないと答えると、ちょっと様子がおかしかった事を美都に伝える。家の近くに行ったから寄ったら、結婚式の写真がまだ飾ってあり、指輪もしてた、と。「“最後に”って涼太さんどういうつもりで言ったのか、ちょっとね・・・あっ、変な意味じゃなくて」と。

 

仕事帰りに子供に会いに来た有島。

麗華 「まだ続けるの?」

有島 「続けます、続けますよー。」

と、抱っこしている子供に言う。

麗華 「往復3時間を1日2回。疲れきって仕事にならないんじゃないですか?1日6時間を無駄にしているなんてバカみたいなんですけど。」

有島 「いいんだ。あこしゃんに会えるし、麗華の顔も見れる。」

麗華 「なんか、こういうのって、あれみたいね。とにかく自分が頑張って努力する姿を見せつけて、プロポーズを受けてもらおうとする人たちの心理。本人が本人の事どれだけ頑張ろうと、トライアスロン完走しようと、円周率を十万桁覚えようと、プロポーズを受ける側にとってはほぼ関係のない事。そういう努力の方向ってどうなんだろうっていう疑問と、今似たような気持ちです。」

有島 「だから、だからいいんだって!あこしゃんに会えて麗華の顔が見れれば。許してもらおうとかじゃなくて、俺が今一番したい事をしてるんだから。それだけだから。」

麗華 「それだけでいいなら・・・なぜ私はこんな思いをしているの?」

有島 「じゃぁ、どうしたら?はぁー、ダメだもう、ループしてるー。」

麗華 「だから会わないってー」

有島 「嫌なの!!会わない時間で互いの大切さがわかるとか、そういうの俺にはわかんないの!」

麗華 「あの人は、あなたの事癒してくれた?楽しかった?あの人といる時のあなたは、私が見た事のないあなたなのかしらね。でもね、光軌、私もこんな自分見た事がない。あの顔(有島家を訪ねて来た美都の顔)、一生忘れない。私をこんな風にさせたあなたの事が・・・憎いです。」

有島は正座し、麗華の正面に座る。そしてまっすぐ麗華の目を見て言う。

有島 「愛してるよ、麗華。」

麗華は有島の顔を思いっきりビンタする。その音で子供が泣いて起きる。

有島 「愛してる。」

麗華は再びビンタする。

有島 「麗華」

麗華はビンタする。

有島 「愛してるよ。」

麗華は涙を流しながらビンタする。

有島 「麗華。」

麗華は黙って子供をあやしに行く。有島は泣きそうな顔でうつむく。

 

有島が車で帰った後、麗華の母親が部屋に入ってくる。

「お前は、光軌さんが正しいから好きになったの?」という母親に麗華は何も答えられない。

 

早朝、有島は歯を磨きながら美都に「もう会いません。連絡もしません。ブロック削除していいですか?それとうちは絶対わかれません。ごめんなさい。」とメールする。するとすぐに美都から「了解です。あやまることはありません」と返事が返ってくる。

 

美都はまだ布団の中で有島に返信し、起き上がると窓を開け、外の空気を吸う。

出勤途中、「あんたの新居どこ?」と香子からメールが来る。思わず笑顔になる美都。

 

その夜、香子が美都の新居に来る。料理を作ってもてなす美都。

香子 「へぇ、美味しそうじゃん。前は全然出来なかったのに。」

美都 「今は料理したり、家の事するのが楽しくってさ。涼ちゃんみたい。」

香子 「夫婦・・・だったんだね。・・・しっかしすごい部屋だね。罰が当たっていい気味。」

美都 「その節は大変ご迷惑をおかけしました。」

香子 「ホント!でも今は私、幸せだからどうでもいいんだけどねー。」

美都 「えっ!もしかして彼氏?」

香子 「3年4ヶ月ぶり!いやー長かったー。」

美都 「え!どんな人?結婚前提?」

香子 「あんたになんか言わなーい。」

美都 「なんでよー。じゃあさ、その人歴代1位?」

香子 「ん?それ比べても仕方なくない?あの頃好きだった人は、あの頃の自分が好きだった人、冷凍保存でもしとかない限り今は自分も相手も変わってる。あの頃好きだった人はもうこの世にはいない、亡霊、妖精、幻。」

美都 「幻?」

美都は、昔占い師に「あなたの夢は幻。いない人に恋をしても幸せにはなれないよ。」と言われた事を思い出す。

美都 「あぁー、そっか、そういう意味だったのか。やっぱり、占い馬鹿に出来ないよ。その彼絶対占ってもらった方がいいよ!」

 

有島が眠そうに家に帰ると、家の前で横山(中川翔子)が待っていた。

横山 「奥さん、ずっと実家ですか?」

有島 「はぁ。」

横山 「私のせいなんです。ごめんなさい。あのビラやったの私なんです。奥さんに黙って勝手に。」

驚き、唖然とする有島。

有島 「あいつそんなの一言も・・・。」

横山 「すみません。幸せそうなのが悔しくて。」

有島 「俺はいいけど、麗華はキツかっただろうな。」

有島は目に涙を浮かべる。

横山 「うちは引っ越す事にしたと奥様にお伝えください。本当にすみませんでした。」

 

有島は家に入りお香を焚く。

 

翌朝、実家へ行くと麗華は早く起きてゴミを捨てていた。「どうせ朝起こされるなら家事やっとこうと思って。」そう言う麗華を引き寄せて有島はキスをする。突然の事に驚く麗華に、有島は満面の笑みで「気持ちいいね!」と言う。麗華は、まだ有島と付き合う前に自分から初めて有島にキスをして「気持ちいいね!」と言った事を思い出す。

有島は麗華を強く抱きしめる。

麗華 「この匂い・・・。」

有島 「お香って、癒されるな。」

麗華 「優しくて、ズルい人。」

2人は笑い合う。有島は片付けを手伝う。「でももう、あの時ほど気持ち良くはないかな。」麗華は1人笑顔で呟く。

 

区役所で住民異動届を出す美都。窓口で、名前がまだ渡辺になっている、おそらく離婚届は出されていない、と言われる。唖然とする美都。

 

美都は小田原(山崎育三郎)と会う。

美都  「離婚届、出しておいてくれるって言ったのに出してないし、携帯もずっと留守電のままで、涼ちゃんいつもなら絶対すぐ連絡来るのに。」

小田原 「心配なんだ?」

美都  「うん。そりゃ、一応。」

小田原 「まだ夫婦か。いいのか、涼太がそれで救われるなら。あんなボロアパートに引っ越して、君みたいに損得計算出来ないバカ正直な女、嫌いじゃない。でも打算で男選ぶ女よりはマシって程度だけど。実はここ1週間あいつ休んでる。一応病欠の連絡はあったみたいだけど。俺も心配で。」

美都  「電話は?」

小田原 「出ない。まぁ、涼太にしてみたら、奥さんと友達いっぺんに無くしたようなもんだもんね。俺じゃダメだからさ。あいつの事頼みます。」

 

家を訪ねる美都。チャイムを押しても出てこないので、鍵を開けて入る。リビングはすっかり綺麗になっていて、結婚式の写真も相変わらず飾ってあった。

美都は涼太と悦子の言葉を思い出す。

『やり直したいなあ。出来る事なら病院のあの待合室から。初めてのあのカフェから。プロポーズしたあの公園から。あっ、でもわかってるよ、無理だっていう事は。いっそ生まれ直したい。あれより楽しい事あるのかな?人生・・・長いなぁ。』

『“最後に”って涼太さんどういうつもりで言ったのか、ちょっとね・・・あっ、変な意味じゃなくて。』

 

美都は走って涼太を探しに行く。

 

ーーー『ずっと涼ちゃんが恐かった。涼ちゃんがわからなかった。私を縛り付けるあの笑顔が。苦しくてたまらなかった。忘れてた、涼ちゃんは、私の夫は、あんなに綺麗に笑う人だったのに。』ーーー

 

涼太を見つけ走って駆け寄る美都。

美都 「涼ちゃん、待って、涼ちゃん!」

涼太 「みっちゃん、どうしたの?」

美都 「涼ちゃんがもし死んじゃったら私耐えられない。涼ちゃん、もし、もしだけど、今更こんな事言う資格無いけど、涼ちゃんがそんなに望んでくれるなら、私はもう一度・・・」

涼太 「みっちゃんらしい!それは同情でしょ。好きとは違う。罪悪感。しかも自分のせいで僕が死んだら自分の気分が悪いから。ぜーんぶ自分の為だ。これ以上無いくらいみっちゃんらしい。君は自分を肯定する事にかけては天才的だね。君が誰かに恋をしてた様に、僕も君に恋をしてた事に気付かなかった?君と同じ様に僕にも気持ちがあるんだよ。そして今、僕の気持ちは、みっちゃんのことはそれほど。みっちゃんもそうでしょ?最初から。みっちゃんはまだ、本当に人を好きになった事がないんじゃない?2番どころか、1番も。」

美都 「そうかも。」

涼太 「本当に正直でひどい人だ。」

美都 「ごめん。」

涼太 「かわいそうにね。僕でも一番好きな人と結婚出来たのに。」

美都 「ありがと。でも、私には涼ちゃんの、涼ちゃんの愛は、優しい暴力だった。私、これから、あなたの事を傷つけた事を忘れずに生きて行こうと思います。本当にごめんなさい。」

美都は深く頭を下げて涼太に謝罪する。

涼太は近づいて来て手を差し出す。美都も手を出し、2人はぎこちない笑顔で握手する。

ーーー『あ、でも私、この手は本当に好きだった。』ーーー

手を離し去って行く涼太。美都も来た道を戻る。涼太は手から結婚指輪を外し、海に向かって思いっきり投げる。

 

ーーー『二度目の独身、早1年。旬の物が好きになった。観葉植物、お気に入りのカーテン。私らしい離婚をされた結果、涼ちゃんとの暮らしで“私らしい”が変わっているのに気付いた。あとは出来れば、少しは人の幸せも祈れる私に変われたら・・・』ーーー

 

ベビーカーを肩に掛け、よちよち歩く子供の手を引いて歩く有島。

 

趣味は形から、とテニス用品一式を揃えた花山(橋本じゅん)。

花山 「趣味は、形から」

悦子 「形から入る人って、自分はこの趣味が好きだって未来を信じる事よねぇ。」

花山 「結婚と一緒。未来の愛を信じて。」

悦子 「今度こそ、×はつけない様お願いしますよ。」

笑い合う花山と悦子。

 

良性の腫瘍の手術をした麗華。退院して歩く麗華、有島、子供の前には横山家族が。

横山は大きなお腹をしていて、夫ともとても仲が良さそうだった。

「色んな夫婦がいるんだね。」という麗華。

レストランに来た美都は涼太と再会する。涼太は「ウェディングプラン」と書いたパンフレットを持ち、女性と一緒にいた。動揺する美都。

レストランで座っている香子と花山に「ウェディングプラン」のパンフレットを渡す美都。香子と花山は手を握り合う。

 

外では小田原、同僚女性と共に設計の打ち合わせをする涼太。

美都は1人外に出て、「再婚か。」と呟き、頭上で輝く太陽を見上げる。

美都に気付いた小田原は涼太に「いいのか?放っといて。」と言うが、涼太は「それほど。」と言い、笑い合う2人。

涼太と女性は他の場所の写真を撮りに行く。涼太は美都に誤解されて嬉しそう。2人の楽しそうな後ろ姿を見つめる美都。

ーーー『こちら三好美都。未だ人の幸せなんか全然喜べない。バツイチ29歳。運命の出会いは・・・』ーーー

 

「すいません。」と声をかけられて振り向く美都。爽やかな男性が犬を追いかけて走ってくる。そして犬は美都に飛びつく。

 

ーーー『まだ知らない。』ーーー

 

【完】

 

後からでも見れる動画メディア紹介

http://www.tbs.co.jp/muryou-douga/anasore/010.html

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